シバサシ 宇検村阿室
大きいノロの存在、集落の伝統行事やまとまりに不可欠
10月4日(旧歴8月16日)午前5時。宇検村阿室。まだ明けきらぬシマ(集落)では「シバサシ」が始まっていた。
八月初丙の日のアラセツから7日後の壬の日に行われる伝統行事。
シマの中央にあるミャー(祭り広場)の土俵脇に真っ赤な火が灯され、チヂン(小太鼓)と八月踊り唄が響き渡る。
「アラシャゲ」で始まり土俵を囲んで「芦検坊々ぜ」「柳葉」「キューヤ(喜界)湾泊」の4曲を東の空が明けるまで唄い、踊った。合間にはお茶、焼酎、塩、イカの干物が配られた。
阿室は30世帯67人。三方を山々に囲まれ、集落の奥まったところにわずかに畑が残る。隣りの平田集落の境にある神山にはシマタテガナシがあり、ミャーの近くには1916(大正5)年に大火で焼失した女夫松の後に植えられた松の巨木やアシャゲ、トネヤ、カミミチ、そして宿泊施設完備の公民館がある。
シバサシは節行事の一つ。
住家や家畜小屋の軒先、畑などにシバを挿すことから「柴挿し」と呼ばれる。アラセツとシバサシの日は松明を灯し、朝5時から踊りはじめ、その間の5日間は夜の8時ごろから1時間以上連日踊る。昨年までは午前4時から始まっていたという。

シバサシギンを拝む家は前日のまだ明るいうちに高膳にミシャク、焼酎を線香3本を供える。盆に迎える先祖は線香2本。祖先とシバサシの神様では線香の数が違う。代々父系列で相続され、その家の主婦が拝む。
門口で藁束で迎え火を焚き、チカラグサでたたいて炎を消し、煙を立ててコーソガナシ(祖先の神様)を迎える。
家々の四隅にススキを挿して悪霊払いをし、シバサシギン(ハブラギンなどと呼ぶ)、カミギン(神衣)、カカン(スカート)、サジ(鉢巻のような長い布)、ドギン(胴衣)などを取り出して、五穀豊穣祈願とシバサシの神様を祀る。年に一回の伝統行事。現在は6軒の家で行われており、各家々では4―5枚のシバサシギンを東の方向に供えて拝む。
写真・文 山中順子
南海日日新聞10月10日掲載よりhttp://www.nankainn.com/
最近のコメント